トレンチに魅入られし紳士達

映画をよく観るようになりました。
シャーロック・ホームズ。

恋に落ちたシェイクスピア。

インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア。

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気づけば、中世や近代の洋装に目が向いています。
整いすぎたものは、どこか心に刺さらない。
崩れていても、核心だけを纏っている男が、なぜか美しい。
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そんなことを考えながら、トレンチコートのことに思いを馳せていました。

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「トレンチ」とは、塹壕のことです。
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第一次世界大戦、ヨーロッパの泥濘んだ戦場で、英国軍将校たちが雨と泥から身を守るために纏ったコートが起源です。

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肩のエポーレット(階級章をつける肩布)、腰のDリング(主に水筒など装備品を吊るすための金具)。
今もトレンチに残るこれらのディテールは、飾りではありません。
戦場という極限の場所から生まれた、必然の形です。
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ジャケットも軍服が原型であるようにトレンチも軍服・ミリタリーから来ています。

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そのコート、不思議な魔法があると私は考えます。
私が倒錯し続けているからでしょうか。
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お客様が纏った瞬間、人が変わるのです。
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まるでシャーロック・ホームズになったかのように。

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芸能人と企業を繋ぐお仕事をされている社長がいらっしゃいます。
実に大阪人らしい、商人肌の方。
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リンペルメアビレのトレンチを羽織った瞬間、空気が変わりました。
一気にダンディな紳士に変貌されたのです。

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今でも愛用して下さっており、冬場はほぼ外出時は毎日羽織って下さっておられたとの事。
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またある時は
東京・六本木ヒルズのビームスさんでサイズが見つからず、わざわざ大阪まで足を運んでくださったお客様もそうでした。
やり手のビジネスマン風の方が、袖を通した瞬間にキザで上質な紳士へと変わられた。

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まるで香水のようです。
その方その方の香り(ここではオーラ)にトレンチのスピリットを香せて融合し浸透するような。
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そして先日、忘れられないお電話をいただきました。

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「このトレンチコートが欲しいのですが…」
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80歳のお客様からでした。
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正直、驚きました。
本当に80歳の方が、私どものサイトを見てくださったのか、と。
オンラインでのご注文が難しいからと、わざわざお電話をくださったのです。
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どうしても欲しい。
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その一言が、胸に刺さりました。
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代引きでお送りさせていただきましたが、発送した後からずっと不安でした。
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サイズは大丈夫だったかな。
お色はあちらでよかったかな。
生で拝見出来ていたら…と。
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翌日、妻に再度お電話させていただきました。
サイズがピッタリとのことで、ようやく胸を撫で下ろしたのです。

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生で拝見したかったものです。本当に。
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日本人だから似合う、ということでもないのです。
肌の色も、年齢も、関係ない。
人は一着のトレンチで、確かに変わります。

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イギリスが生んだ品格と機能美。
そしてイタリアが加えた色気と美意識。
その両方が宿る一着、リンペルメアビレに、私は長らく倒錯し続けています。
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3月。
春の光の中でも纏えるナイロン仕立てのトレンチも取り揃えております。
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定番なので昔も今もリンペルメアビレは100年の歴史の中変わらぬ形を出して来てくれます。
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一着のトレンチを巡って、ドラマがあります。
お客様にも。
私にも。

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トレンチへの私の倒錯は益々、いや…継続して心を熱くさせてくれています。