【2025AW】“ブラウン”という色が語るもの

2025秋冬を振り返って
ヨーロッパの空気を胸いっぱいに吸い込んだ私は、今年のキーカラーが“ブラウン”であることに、直感と確信の両方を覚えました。
ピッティ・ウオモ

プルミエール・ヴィジョン

各ブランドの展示会…
そしてファッション関係者たちの発信すべてに共通して漂っていたのは、温もりと重厚感を湛えたブラウンの気配でした。
グリーンが定番となりつつある中、それを映える為のブラウンでもありました。
日本のメディアでは在庫の関係からか「今年の正解はグレー」といった論調もありますが、
イタリアのバイヤーやデザイナーたちがリアルに選んでいたのは、間違いなく“ブラウン”でした。

PANTONEが発表したカラー・オブ・ザ・イヤーでも、“モカムース”が最注目トーンとして位置付けられていました。

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流行ではなく、“空気”を読むということ
私は雑誌などの“トレンド”という言葉を、鵜呑みにはせず
信じてきたのは、**「自分の目が何に刺さったか」**という感覚。
アットヴァンヌッチの加賀健二氏がイタリアから「ブラウンの時代が来ている」と語られていた事。
彼が展開するネクタイの色柄がまさにその潮流を体現していたこと。
その全てが、Del Fioreのセレクトに確かな後押しを与えてくれました。
一昨年にグレーが来ると加賀さんが言われていたのが印象的でした。イタリアと日本を往復する方と同じ目線でおれるのは有り難い事です。
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なぜ今、ブラウンなのか?
✔️ 1. 時代が求める「温もり」
コロナ禍以降、世知辛さが増し経済も人間関係も揺らぎやすい今だからこそ、
世界的にも心を包むような“温かみ”を持つ色に、人は自然と惹かれる、そこでの「ブラウン」だったのかもしれません。
ブラウンは、着る人に安心感を与え、
見る人に穏やかさと信頼感をもたらしてくれる不思議な色です。

海外のメゾンは1年半〜2年前に色の方向性を決定し、展示会やコレクションで世界中に共有します。

一方、日本ではそこから数ヶ月〜1年遅れての輸入・展開が主流となるため、“発信と反応”の間にズレが生じるのです。その上でまだメンズの方はもう一年遅れる流れとなっています。
✔️ 2. 多彩なトーンが楽しめる
ビターチョコのような深み、キャメルの軽やかさ、モカの柔らかさ。
同じブラウンでも、その表情は無限。

“正解”が決まっていない分、自分だけの粋を演出しやすいのも魅力です。

✔️ 3. イタリア仕立ての“色気”を引き出す
ブラウンは、イタリアの立体構造や重ね縫いの陰影を最も美しく際立たせてくれます。
光と影が織りなすニュアンス、柔らかなイセの膨らみ。
それを表現できるのは、まさにこの色――ブラウンなのです。

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今季セレクトの中核──“ブラウン”
ここからは、今回のセレクトの中でも特に「ブラウンの美」を軸に選んだ3つのアイテムをご紹介します。
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🧣【Atto Vannucci】

この秋は**ブラウンを基調にした“余白のある洒脱さ”**が魅力の一本をセレクトしました。
重ねすぎず、華やかすぎず、
“深みと軽やかさ”を両立させた、まさにイタリアの粋。

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🧶【BAFY|バフィー】

今季展開するのは、ショールカラーデザインのアラン編みニット。
5ゲージのローゲージ×ローメリノウールが生み出す立体感が、
ブラウンの陰影を一層深く、エレガントに引き立ててくれます。

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🧥【BRERAS|ブレラス】

柔らかな構築感と、揺るがぬ品格を併せ持つ、大人のためのコート。
あえてグレーやブラックではなく、**“知的で奥行きのあるブラウン”**を選んだことで、
スタイリングに深みと温もりを加えてくれます。

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ブラウンという「文化」を纏うということ

グレーやネイビーが安全だからと選ぶのではなく、
**「いま、ブラウンを選ぶ意味」**を、世界と繋がる目線で問い直したいのです。
雑誌の正解よりも、自分の直感と信念を信じること。
それこそが、私たちDel Fioreの使命であり、哲学です。
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最後に
この秋冬、装いに「ブラウン」という選択肢が加わったとしたら、
それは、世界の空気と私たちの想いが、きっと届いた証かなと。
“売れるもの”ではなく、“美しさの本質”を信じて。

この色とともに、深みあるスタイルを見つけていただけたら嬉しく思います。
もしかすると…また「一年先のもの」を仕入れてしまったのかもしれません😅
……そして、2026年春夏。

PANTONEが掲げた
“Cloud Dancer(クラウドダンサー)”

は、静けさの中に気品を宿すような、限りなく白に近いトーンでした。
ブラウンで育んだ温もりから、白で包まれる未来へ――

私たちはこれからも、「色」を超えた“感性”のバトンを、季節を超えて届けてまいります。